ChatGPT と Questetra BPM Suiteを MCP でつなぐ

本記事では、ChatGPT を MCP クライアントとして利用し、Questetra BPM Suite(以下 Questetra)の MCP サーバへ接続するための設定手順を解説します。設定が完了すると、ChatGPT のチャットから Questetra のケースやタスクのデータにアクセスし、内容を分析・要約できるようになります。


用語を次のように呼び分けます。ワークフローアプリ= Questetra 側で業務プロセスを定義したアプリ。ChatGPT アプリ= ChatGPT 側に登録する MCP コネクタ(画面上は「アプリ」と表示)。

MCP とは? なにができる?

MCP(Model Context Protocol)は、ChatGPT や Claude のような AI(生成 AI のチャット)と、外部のシステム・サービスを安全につなぐための共通仕様です。「AI 側= MCP クライアント」「データを提供する側= MCP サーバ」という役割で接続し、AI はサーバが公開する「ツール」を呼び出して情報を取得します。

Questetra は MCP サーバとしての機能を備えており、AI から接続すると、たとえば次のような対話ができるようになります。

  • 「私のマイタスクは何件ある? どれから対応すべき?」
  • 「現在進行中のケースの一覧を教えて」
  • 「このケースのデータを要約して」

現在 Questetra の MCP サーバが提供しているのは 参照(読み取り)系のツールのみです。AI がデータを書き換えたり、タスクを処理したりすることはありません。

ツール名内容
get_current_user接続中のユーザ情報を取得
list_process_modelsワークフローアプリの一覧を取得・検索
list_process_data_definitions特定のワークフローアプリのデータ項目定義(項目名・データ型・データ項目番号・表示順など)の一覧を取得
list_process_instancesケースの一覧を取得・検索
get_process_instanceケースの詳細(データ項目の値含む)を取得
list_workitemsタスクの一覧を取得・検索
get_document検索条件などの補足ドキュメントを取得

事前準備

接続には、Questetra BPM Suite 側での OAuth2 クライアント設定と、ChatGPT 側での ChatGPT アプリ登録の両方が必要です。以下を事前にご確認ください。

  • Questetra 側
    • ワークフロー基盤の URL(例: https://XXX.questetra.net)
    • ワークフロー基盤の[システム管理権限](OAuth2 クライアントの作成に必要)
  • ChatGPT 側
    • ChatGPT Business / Enterprise / Edu のいずれかの契約(カスタム MCP の利用に必要)
    • ワークスペースで「開発者モード」が有効であること
    • カスタム ChatGPT アプリ(コネクタ)を作成・公開できる管理者権限(Admin または Owner。一般メンバー不可)

注意:ワークフロー基盤で[IPアドレス制限]を設定している場合、ChatGPT からの接続が拒否されることがあります(参照:IPアドレス制限を設定する)。


接続の流れ

OAuth2 のリダイレクト URL(コールバック URL)は、ChatGPT アプリごとに自動生成される方式に変わりました。以前のように固定の URL を使うのではなく、ChatGPT の作成画面に表示される URL を Questetra 側へ登録します。そのため、次の順序で進めるとスムーズです。

  1. ChatGPT アプリの作成画面を開き、コールバック URL を控える
  2. Questetra で OAuth2 クライアントを作成し、クライアント ID/シークレットを取得
  3. ChatGPT に戻ってクライアント ID/シークレットを入力し、ChatGPT アプリを作成
  4. 認可(OAuth)を行い、接続を確認

1. ChatGPT アプリの作成画面を開く(コールバック URL の確認)

  1. ChatGPT にログインし、[設定]>[アプリ]を開く
  2. [高度な設定]の行の右端にある[アプリを作成する]をクリック(右上の[さらに追加する]は既製アプリを探す画面で、カスタム MCP サーバーの登録には使いません)
  3. 表示された「新しいアプリ」画面で、以下を入力する
    • 名前:任意の表示名(例: Questetra BPM Suite)
    • 接続:[サーバーの URL]を選び、MCP サーバの URL を入力
      • MCP サーバ URL は <Questetra の URL>/mcp(例: https://XXX.questetra.net/mcp)
    • 認証:OAuth を選択
  4. [OAuth 関連の高度な設定]を開く。MCP サーバ URL が正しければ、OAuth エンドポイント(認証 URL/トークン URL/認証サーバーのベース/リソース)が自動的に検出され入力されます
  5. 「クライアントの登録」の 登録方法 は User-Defined OAuth Client のままにする(Questetra は DCR/CIMD には未対応のため、自分で取得したクライアント ID/シークレットを使います)
  6. 「コールバック URL」に表示された URL を控える(例: https://chatgpt.com/connector/oauth/xxxxxxxxxxxx)。このあと Questetra 側のリダイレクト URL に登録します

この時点ではまだ[作成する]を押しません。先に Questetra 側の設定を行います。


2. Questetra BPM Suite 側の設定(OAuth2 クライアントの作成)

Questetra にて OAuth2 クライアントを作成します。

  1. [システム設定]>[API クライアント]を開く
  2. [OAuth2 クライアント追加]をクリック
  3. 以下の内容で設定する
項目設定値
スコープread(「データを取得する API へのアクセス」)
リダイレクト URL手順 1 で控えた ChatGPT のコールバック URL
クライアント認証方式client_secret_post
Proof Key を要求(PKCE)有効
  1. 保存後、以下の情報を控える
    • クライアント ID
    • クライアントシークレット

スコープについて: MCP クライアント(ChatGPT)は、サーバが公開するメタデータを参照して read スコープを要求します。クライアント設定には必ず read を含めてください。現状の MCP ツールはすべて参照系で read で足りるため、より広い権限である any(「すべての API へのアクセス」)を付与する理由はありません。


3. ChatGPT に戻って ChatGPT アプリを作成する

手順 1 の「新しいアプリ」画面([OAuth 関連の高度な設定])に戻り、以下を入力します。

項目設定値
OAuth Client IDQuestetra で取得したクライアント ID
OAuth Client SecretQuestetra で取得したクライアントシークレット
Token endpoint auth methodclient_secret_post(クライアントシークレットを利用する場合)
Default scopesread(自動検出されチェック済み。チェックされたままにする)
  1. 「カスタム MCP サーバにはリスクがあります」という注意を確認し、続行に同意するチェックを入れる
  2. [作成する]をクリックして ChatGPT アプリを作成する

4. 認可(OAuth)と動作確認

ChatGPT アプリの作成・接続時に、Questetra の認可(OAuth 同意)画面が表示されます。

  1. 認可画面で read スコープがチェックされていることを確認し、許可する
  2. 認可はユーザごとに行われます(管理者が登録した ChatGPT アプリでも、利用する各ユーザがそれぞれ認可します)
  3. 接続後、ChatGPT の[設定]>[アプリ]>(登録した ChatGPT アプリ)を開くと、前述の 7 つのツール(アクション)が表示されていることを確認できます

最後に、ChatGPT のチャットで実際に呼び出してみます。たとえば次のように尋ねます。

(@(アプリ名) を指定して)登録した ChatGPT アプリを使って、現在のユーザ情報を教えて。

接続中ユーザの情報(氏名・メールアドレスなど)が返ってくれば、接続は成功です。「マイタスクは何件? どれから対応すべき?」のような問い合わせも試してみてください。


5. 設定したユーザ以外が ChatGPT アプリを利用するには

作成したカスタム ChatGPT アプリは、最初は「下書き」状態で、作成した本人だけが利用できます(その人の[設定]>[アプリ]に Dev ラベル付きで表示されます)。ワークスペースの他のメンバーにも使ってもらうには、管理者/オーナーが ChatGPT アプリを「公開」する必要があります。

ここでいう「公開」は、自社の ChatGPT ワークスペース内に公開(社内のメンバーが使えるようにする)という意味です。インターネット上の不特定多数や、OpenAI の公開アプリディレクトリに掲載されるわけではありません。利用できるのは、あくまで同じワークスペース(組織)のメンバーに限られます。

(1) ChatGPT アプリをワークスペース内に公開する(管理者・オーナーの作業)

  1. [ワークスペース設定]>[アプリ]を開く
  2. [下書き]を開き、「右上の三点リーダー(『…』マーク)」ボタンから、対象アプリの[公開]をクリックする
  3. 表示される安全性の警告を確認して公開する

Business プランでは、公開後に ChatGPT アプリの内容(ツールやメタデータ)を更新できません。ツール追加などの変更を反映したい場合は、ChatGPT アプリを作り直して再公開します。Enterprise / Edu プランでは、RBAC でアクセスできるメンバーを限定したり、公開後にアクションを更新したりできます。

(2) 各メンバーが ChatGPT アプリに接続する

公開すると、その ChatGPT アプリはワークスペースの承認済み一覧に加わり、各メンバーの[設定]>[アプリ]に custom ラベル付きで表示されます。

  1. 各メンバーが[設定]>[アプリ]から対象の ChatGPT アプリを開き、接続(有効化)する
  2. 接続時に Questetra の認可(OAuth 同意)画面が表示されるので、各自で許可する

認可はユーザごとに行われます。 ChatGPT アプリ自体は共有されますが、Questetra へのアクセスは「接続したユーザ本人」の権限で行われます。各メンバーは自分のアカウントで認可するため、取得できるデータも各自の権限の範囲に限られます。

接続後は、各メンバーのチャットでその ChatGPT アプリを選択するか、会話の中で @(ChatGPT アプリ名) を指定して利用できます(@ を入力すると候補が表示されます)。


注意事項

  • 現在、MCP サーバが提供するのは参照(read)系のツールのみです。AI による書き込みやタスク処理は行われません。

以上で、ChatGPT(MCP クライアント)と Questetra BPM Suite(MCP サーバ)の接続設定は完了です。AI から自社の業務データへ安全にアクセスし、状況の把握や分析に役立ててください。