生成 AI 自動工程の比較と活用ガイド

Questetra BPM Suite では、ワークフローの自動化をさらに進化させるために、生成 AI サービスと連携する自動工程を、標準機能としてビルトインしています。これらを利用することにより、文章の自動生成や要約、レビュー、分類、さらには画像生成など、業務における情報処理の効率化が可能になります。

本記事では、Questetra で利用できる 各 AI 自動工程について、その特徴、設定概要および活用例をご紹介します。また、違いを整理し、使い分け方もご提案します。特に、Questetra 独自の[AI エージェント]工程と外部サービス(OpenAI / Google Vertex AI / Amazon Bedrock) 連携自動工程との違いに焦点を当てながら、実際の運用シーンに役立つ情報をお届けします。

※2025-08 時点での比較であり、各生成 AI モデルのアップデートやビルトイン工程のアップデートにより、特徴や設定概要などが変わる可能性があります。


1. 利用できるサービスの一覧とその特徴

以下の表は、Questetra BPM Suite にビルトインされている AI 自動工程の特徴を、サービスごとにまとめたものです。Questetra[AIエージェント]工程は、トライアルを含む Questetra BPM Suite 全てのエディションで利用できます。その他の自動工程を利用するには、Advanced 以上のエディションが必要です。さらに、対象サービスとの利用契約が別途必要です。

サービス名別途サービス契約Questetra との連携における特徴導入難易度AI モデル
Questetra[AIエージェント不要複数のデータ項目の処理など柔軟な制御ができる低:特別な設定は不要(Anthropic Claude)
OpenAI 必要高精度な自然言語応答、画像生成も対応中:APIキーの作成ChatGPT / DALL-E
Google Vertex AI必要音声や PDF の入力が可能高:プロジェクトの作成、サービスアカウントの登録などGemini
Amazon Bedrock必要高い長文読解の Claude モデルや画像生成対応高:AWS の環境設定、IAM ユーザーの作成などAnthropic Claude / Stability AI Stable Diffusion

2. [AI エージェント]工程の概要

2-1. 特徴

[AI エージェント]は、Questetra BPM Suite にビルトインされた自動処理工程のひとつです。指定したデータ項目からの情報を読み取り、生成 AI の力を使って編集・提案を行うことができます。

後述する他の AI 自動工程と異なり、日本語などの自然言語で「どのデータ項目を読み取るか / どのデータ項目に処理結果を出力するか」を指定できることが特徴です。また、複数のデータ項目を対象に入出力を行ったり、文章を要約し要約文を翻訳するなど処理結果をもとにさらに処理を指示したりすることも可能です。

また、プロンプトに対して「文章の長さ」「読者層」「キーワード」などの指示を柔軟に加えることで、出力結果を細かくコントロールすることができます。

2-2. 設定概要

AI エージェントでは以下の設定が可能です。

  • C1: AI への指示:目的や書式、対象データなどを指示形式で記述します。
  • C2: モデル:編集不可(内部的に Claude 系モデルが使用されます)。
  • C3: 温度:創造性の程度を調整します。値が高いほど自由度が増します。
  • 対象データ項目の指定
    • 「表示のみ」:読み取り可能だが編集不可
    • 「編集可能」:読み取り+書き込み可能
    • 「非表示」:読み取りも不可

2-3. 活用例

  • 「問い合わせ本文」を読み取り、「返答案」フィールドに適切な返信文を出力
  • 「報告内容」データ項目をAIがレビューし、「AI レビュー」欄にフィードバックを記録
  • 「記事案」に記載された原稿を5段階評価し「評価結果」に出力

2-4. 利用上の制限とセキュリティ

[AI エージェント]工程の利用には、契約エディションとユーザ数に応じて1日あたりの利用上限があります。上限はトークン数を基準に算出され、超過時は自動処理が失敗し、通知メールが送信されます。翌日にはリセットされ、再び利用可能になります。

また、入力されたデータはモデルの学習に使用されません。AI モデルとして内部的に利用される Amazon Bedrock は、第三者へのデータ提供や学習利用を行わないことが明示されています。

ヘルプページ:AI エージェント


3. 外部サービス連携 AI 自動工程 

多くの AI サービスでは、Web UI のほかに、API を使ってデータを送信できる仕組みが用意されています。Questetra のワークフロー基盤からこれらの API に HTTPリクエストを送るには、リクエストの内容を組み立てて送信するスクリプトが必要です。

「外部サービス連携 AI 自動工程」は、各サービスの API にリクエストを送信するためのスクリプトが、あらかじめパッケージとして提供されているものです。APIキーなどの認証情報や、送信するパラメータの値は、UI 画面上で簡単に設定できます。

ここでは Questetra で提供されている外部サービス連携 AI 自動工程について、サービスごとに紹介します。

3-1. OpenAI

個人向けの「Plus」や企業向けの「Team」といったプランを契約することで、API が利用できるようになります。API の利用には、別途従量課金がかかります。

3-1-1. ChatGPT: チャット

概要

OpenAI の ChatGPT 系のモデルを使って自然言語処理を実行する自動工程です。プロンプトベースで出力を取得し、結果をデータ項目に格納します。画像ファイルを添付し、その画像を解析することにも対応しています。

主な設定項目

  • 認証設定(APIキー)
  • モデル(gpt-4-turbo、gpt-4oなど)
  • トークン数上限 / 温度 / 停止シーケンス
  • ユーザメッセージ(#{EL}で動的指定可能)
  • ChatGPTに与える役割の指定
  • 添付:画像
  • 画像読み取り精度指定(モデルに依存)
活用例
  • 問い合わせに対して回答の下書きを作成
  • 仕様書の表現の自然さを評価しフィードバックを返す

ヘルプページ:OpenAI ChatGPT: チャット

3-1-2. DALL-E: 画像生成

概要

OpenAI の画像生成モデル DALL·E を使い、指示(プロンプト)に基づいて画像を生成します。生成画像はファイル型データ項目に保存されます。

主な設定項目

  • 認証設定(APIキー)
  • モデル(dall-e-2、dall-e-3)
  • 画像サイズ / スタイル / 品質
  • ファイル名指定
  • プロンプト内容およびネガティブプロンプト
活用例
  • プレゼン資料のイメージ図や、記事用の挿絵画像生成
  • 商品のコンセプトビジュアル作成

ヘルプページ:OpenAI DALL-E: 画像生成


3-2. Google Vertex AI

Google Vertex AI は、従量課金制の Google プロダクトです。Google Cloud にアカウントを作成し、請求先情報を登録することで利用できます。

3-2-1. Gemini: チャット

概要

Google Vertex AI の Gemini モデルを利用し、テキストやPDF、画像、音声などを入力として AI 処理が可能です。高い汎用性とマルチモーダル処理が強みです。

主な設定項目

  • Google サービスアカウント(OAuth2 JWT設定が必要)
  • モデル(Gemini 1.5 pro、Gemini 1.5 Flash など)
  • リージョン / プロジェクトID
  • トークン / 温度 / 停止シーケンス
  • メッセージ入力
  • 添付:画像、動画、音声、PDF(モデルに依存)
活用例
  • 添付PDFの内容要約、箇条書き出力
  • スクリーンショットを元に UI 指摘コメントを生成

ヘルプページ:Google Vertex AI: Gemini: チャット


3-3. Amazon Bedrock

AWS(Amazon Web Service)にサインアップすることで、Amazon Bedrock が提供する API を通じて、多彩な企業によって開発されたさまざまな AI モデルを利用できます。Anthropic の Claude や Stability AI の Stable Diffusion は、それらの中で高い評価を得ている AI モデルです。料金はいずれも従量課金です。

3-3-1. Anthropic Claude: チャット

概要

Anthropic Claude のSonnet や Haiku 系のモデルを Amazon Bedrock 経由で利用します。Claude モデルでは、拡張思考モード(Extended Thinking)を有効にすることで、複雑な推論にも対応します。

主な設定

  • アクセスキー / シークレットアクセスキー
  • リージョンコード
  • モデル(Claude 3.5 Haiku、Claude 3.7 Sonnet など)
  • トークン、温度、システムプロンプト
  • 拡張思考 / 停止シーケンス
  • 添付:画像、PDF
活用例
  • 契約書や長文の報告書を迅速に要約
  • 技術文書や仕様書の自動レビューとフィードバック

ヘルプページ:Amazon Bedrock: Anthropic Claude: チャット

3-3-2. Stability AI: 画像生成

概要

Stability AI の Stable Diffusion 系のモデルを用いて、画像生成が可能です。

主な設定

  • アクセスキー / シークレットアクセスキー
  • リージョンコード
  • モデル(Stable Diffusion 3.5 Large、Stable Image Ultra v1.1 など)
  • プロンプト / ネガティブプロンプト
  • アスペクト比 / 画像形式
  • ファイル保存先と名前の設定
活用例
  • 広告・マーケティング用のバナーや画像を出力
  • コンセプトアートの作成、視覚効果のプロトタイピング

ヘルプページ:Amazon Bedrock: Stability AI: 画像生成


4. 工程の比較と選定のヒント

本章では、[AI エージェント]と外部サービス連携自動工程を、設定の容易さなどの「利用面」から比較します。

4-1. 「AI エージェント」vs「外部サービス連携 AI 自動工程」

以下の表は、Questetra BPM Suite の AI 自動工程を、特徴・契約条件・技術基盤などの観点から比較したものです。

比較項目AI エージェント外部サービス連携 AI 自動工程
データ項目の読み書き◎(言葉で自在に指定可能)△(自動工程の設定で定義されている)
無料での利用〇(日次制限あり)×(サブスクリプションプランの契約や従量課金)
設定の容易さ◎(工程設定画面のみ)△(API キーやサービスアカウントの 準備が必要)
セキュリティ◎(学習利用なし、Bedrock 準拠)〇(モデル依存)

4-2. 利用目的による使い分け

以下の表は、利用目的ごとに適しているサービスを示しています。

利用目的推奨 AI 自動工程
  • 簡易にワークフローに組み込みたい複数のデータ項目を処理したい
AIエージェント
  • 感情豊かな文章を作成したい
OpenAI ChatGPT: チャット
  • 複雑な長文を読み込んで理解させたい
  • 高度な論理を記述する文章を出力したい
AIエージェント
Amazon Bedrock: Anthropic Claude: チャット
  • PDF や音声など多様なデータを組み合わせて処理したい
Google Vertex AI: Gemini: チャット
  • ビジュアル資料を自動生成したい
  • 広告・SNS投稿用ビジュアル素材を作成したい
Open AI DALL·E: 画像生成 /
Amazon Bedrock: Stability AI: 画像生成

おわりに

Questetra における生成 AI サービスは、それぞれの強みを活かして、さまざまな業務フローを自動化・効率化するために提供されています。
特に [AI エージェント] は、ノーコードでの操作性と、データ項目レベルでの柔軟な制御を兼ね備えており、アプリ設計者にとって扱いやすいソリューションです。

一方で、外部サービス連携自動工程で利用できる ChatGPT や Gemini、Claude などは、より高精度な自然言語処理や高度な画像解析、マルチモーダルな入力などに対応しており、要件に応じて使い分けることで、より高度な自動処理を構築することが可能です。

今後のアプリ設計において、本記事がサービス選定の参考になれば幸いです。

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