Questetra ユーザの皆さま、はじめまして。製品開発部の坂井です。このチュートリアルでは、出張申請アプリなど簡単なアプリをいくつか、皆さまに作成していただきます。Questetra BPM Suite 初心者の方でも、簡単なものから段階的に学んでいける記事になっていると思います。どうぞよろしくお願いします。

Questetra BPM Suite とは

Questetra BPM Suite は、Web ブラウザから利用できるクラウド型多機能ワークフローシステムです。業務ルールを「ワークフローアプリケーション」という形で実現し、作成したアプリケーションをシステム上で利用することができます。「ワークフローアプリケーション」では、ユーザ同士や外部システムとの間でデータの受け渡しを行うことができます。

例えば出張申請アプリを作成すれば、従業員はそのアプリを用いて、出張に関する諸申請を Web ブラウザから行えるようになります。「金額によって出張費の承認先を変更する」といった判断がワークフローアプリケーションにより自動で行われ、然るべきところに出張に関するデータが届く……といったように、業務ルールを自動化することができるのです。出張申請アプリに関しては今後のチュートリアルで作成するので、Questetra BPM Suite の力を感じていただけることでしょう。

Questetra BPM Suite には「アプリ」と「プロセス(インスタンス)」という 2 つの重要な概念があります。「アプリ」はワークフローアプリケーションそのものであり、組織の業務ルールを実現するものです。「この業務はこのような流れで進められていきます」という手引書のようなものです。それに対し「プロセス」「プロセスインスタンス」はアプリケーション上で行われている 1 つ 1 つの業務、例えば特定の「稟議」「案件」「問い合わせ対応」といったものにあたります。

Questetra BPM Suite を用いた業務では、「アプリ作成者」が業務ルールを考慮して作成したアプリを、「アプリ利用者」が業務活動を行うために利用します。このように Questetra BPM Suite のユーザは、「アプリの作成者」と「アプリの利用者」の 2 種類に分けられます。今回のチュートリアルは「アプリの作成者」向けのものになります。

では業務ルールを考慮しながらそれをワークフローアプリとして実現していく、この作業を次の章で体験してみましょう。

ワークフローアプリの作成を体験してみよう

このチュートリアルでは、Questetra BPM Suite の基本的な操作を一通りマスターするために、簡単なアプリを作成します。チュートリアルは大きく、以下の 4 パートに分かれています。

Chapter 1:

アプリの利用者として、既成のアプリを触ってみる

Chapter 2:

簡単なアプリを作ってみる

Chapter 3:

「出張申請アプリ」を作る

Chapter 4:

条件により「分岐」させる

Chpt.1に進む前に環境構築が必要です。まずは Questetra BPM Suite を開いてみましょう。

チュートリアルのための環境構築

Questetra BPM Suite のワークフロー基盤はお持ちでしょうか。ワークフロー基盤をお持ちでない方は、60日間無料で利用できる Trial 環境へご登録ください。

また、このチュートリアルでは Gmail のメールエイリアス機能を利用します。メールエイリアスとは、メールアドレスの「別名」を作る機能です。これにより、1 つのメールアカウントに対して、複数のメールアドレスが存在するかのように見せることができます。Gmail のメールエイリアス機能について、詳しくはこちらをご参照ください。もし Gmail のメールアドレスをお持ちでない場合は、ご利用のメールサービスにおけるメールエイリアスの使い方をお調べいただくか、 Gmail のアドレスを 1 つ取得してください。

まず、これからのチュートリアルで使う組織図の設定をします。チュートリアルでは、「管理部」「営業部」と社長からなる 5 人の小さな組織の中で、業務ルールを回すためのアプリを扱います。

Questetra BPM Suite では、会社などの団体をユーザ組織ロールの 3 つの情報で表します。ユーザは各ユーザ、上の図でいえば「あなた」や「スマトラ」といった個人を表します。組織は部署などを表し、上の図でいえば「全社」「10 管理部」「20 営業部」にあたります。組織情報の中に組織同士の上下関係が含まれているので、「管理部は全社の下位組織」といったことが表現できます。各個人がどの組織に属しているかは、ユーザ情報の中に含まれています。

Questetra BPM Suite には予め簡単な組織構成が設定されています。チュートリアルでは設定されている組織を利用しますが、実業務で使用する際は実際の組織構成に合わせて組織の設定を改変してからご利用ください。

ロールについては、今回用いないので省略します。

Questetra BPM Suite は CSV 入力によるユーザや組織・ロールのインポートに対応しています。今回はユーザ一覧の CSV データの雛形をこちらで用意しました。組織は無料登録時に用意されているものを使います。

ユーザの一括登録

では、ユーザの一括登録を行いましょう。 Questetra BPM Suiteにログインすると、ユーザ名が右上に表示されます。クリックしてプルダウンメニューを開き、[システム設定]を選んでください。システム設定の[ユーザ一覧]が開きます。タイトルの下の[ユーザ一括登録]ボタンから CSV データの入力ができます。

テキストボックスに CSV データを貼り付けて、ユーザ情報をインポートすることができます。メールアドレスは questetra@gmail.com を使用する場合のものになっていますので、お持ちの Gmail アドレスに合わせて + の前を書き換えてください

スマトラ,questetra+Sumatera@gmail.com,,!10 管理部

カナリア,questetra+Canarias@gmail.com,,10 管理部

ガラパゴス,questetra+Galapagos@gmail.com,,!20 営業部

オアフ,questetra+Oahu@gmail.com,,20 営業部

貼り付けた CSV データと追加内容が合致しているかどうか確認してください。また、後でそのアカウントを使うときに必要になるので、自動生成された一時パスワードをすべてメモしておいてください。それが終わったら[更新]をクリックしましょう。

このようにユーザが一括登録されました。 CSV インポート画面にあるフォーマットに従って自分で CSV データを用意すれば、社員の一括登録などができるというわけです。

CSV データでユーザの所属組織の頭に ! を付けると、そのユーザが組織のリーダになります。

「あなた」のアカウント設定

初期状態では、「あなた」のアカウントがすべての組織に所属していることになっています。これは「あなた」のユーザ詳細設定画面から修正できます。先ほどと同じようにシステム設定の[ユーザ一覧]を開き、「あなた」のアカウントの行をクリックしてください。

[所属]の項に「あなた」が所属している組織が列挙されています。一番上に表示されている最上位組織以外をチェックして、[削除]してください。これで「あなた」が所属している組織は最上位組織だけになります。

最上位組織の名前は「00 (無料登録時に入力していただいた会社名)」になっています。チュートリアルのスクリーンショットでは「00 全社」にしてあります。

また、今の状態では全員同じアイコンになっています。アカウントの見分けが付くよう、「あなた」のアカウントだけでもアイコンを変更しておきましょう。ページ右上に表示されているユーザ名をクリックして、[アカウント設定]を開いてください。ここでログインしているアカウントのユーザ名やアイコンを変更することができます。アイコンを適当な画像に差し替えてください。もし使う画像に迷ったら、以下のアイコンを使っていただいて構いません。Questetra のマスコットキャラクター、「クエスくん」です。

これで環境構築は完了です! 早速ワークフローアプリを使ってみましょう。

[ユーザ一覧]ページなどにこのような警告が表示されているかと思いますが、これらの組織は今回使わないので無視していただいて構いません。

Chapter 1: 既成のアプリを触ってみる

アプリ「作業依頼フロー」が既に用意されているので、これを使って Questetra BPM Suite のアプリがどのように動作するのかを見てみましょう。手順の中で2つのアカウントを使用するため、もし可能であれば2種類のブラウザをご用意ください(例: FirefoxとChrome)。

先ほどユーザを複数用意しましたが、そのうち無料登録に使用したあなた自身のアカウントを使って Questetra BPM Suite にログインしてください。ログインするとユーザ名が右上に表示されるので、クリックしてプルダウンメニューを開いて[アプリ設定]を選択します。

「アプリ一覧」に「作業依頼フロー」が既に表示されています。「作業依頼フロー」の行をクリックして、詳細ページに移動してください。

このようなワークフロー図が表示されました。この図で Questetra BPM Suite のワークフロー図の基本を見てみましょう。様々なアイコンが並んでいますが、それぞれ次のような意味を持っています。

開始イベントプロセスを新規開始する。
終了イベントプロセスを終了する。
タスク人が処理すると定められた工程を示す(システムにより自動処理される工程は別のアイコンを用いる)。
スイムレーン同一の役割の人によって処理されるタスクをグルーピングする。例えば「作業依頼フロー」のワークフロー図では、上段のスイムレーンに依頼元が処理するタスク、下段のスイムレーンに依頼先が処理するタスクが入っている。

ではこのワークフロー図により、どのようにタスクが処理されていくか体験してみましょう。

左上の[ワークフロー]→左メニューの[新規開始]と辿って、「作業依頼フロー」の[詳細ボタン ] の隣にある[開始ボタン ]をクリックしてください。これでワークフロー図に則って、1 つ目のタスクである[1. 依頼作業の入力]が開始されます。[件名]など変更できる箇所がいくつかありますが、とりあえずは必須である[依頼先]だけ設定しましょう。今回はカナリアに依頼することにします。[虫眼鏡アイコン ]で一覧表示が出ますし、テキストボックスに数文字タイプすると絞り込みもできます。

依頼先が選択できたら、ページ下部の[「1. 依頼内容の入力」処理完了]をクリックしてください。「このタスクの処理を完了しますか?」というダイアログが表示されますので、[OK]をクリックします。これでワークフロー図の最初のタスクが終わります。次のタスク[2. 再確認/完了報告]を担当するのは、[依頼先]に指定された人となるように、「作業依頼フロー」アプリで設定されています。では、もう 1 つのブラウザでカナリアのアカウントにログインしてみましょう。

※ブラウザが 1 種類しかない場合は、ログアウトしてから別のアカウントでログインし直すという方法でも大丈夫です。

マイタスク]に先ほど依頼したタスクが届いています。[新規開始]するときと同様に、[詳細ボタン ]でプロセスの詳細を確認することができます。

ワークフロー図にアイコンとオレンジの小さな丸が追加され、一部のフローが赤くなっていますね。アイコンはそのタスクの直近の担当者を示しています。このように表示されるので、各アカウントにはわかりやすいアイコンを設定しておくのが実用的でしょう。オレンジの小さな丸はトークンと呼ばれるもので、どのタスクまで業務が進んでいるかを示すものです。トークンが終了イベントに到達するとプロセスは終了、すなわち一連の業務が完了します。赤くなったフローはトークンが通ってきた道を表しています。

では、業務の進捗を確認した上で作業を進めていきましょう。マイタスク一覧へ戻って[処理ボタン ]をクリック、タスク2. 再確認/完了報告の処理に入ってください。完了報告などを書ける欄もありますが、今回は練習なので何も書きません。ページ下部に[再確認]と[完了]のボタンがありますが、今回は[再確認]を選んでください。ワークフロー図によれば、これで依頼元にタスクが戻されるはずです。また依頼元であるあなたのアカウントを見てみましょう。

先ほどと同じように、[マイタスク]にタスク[1x. 再確認への対応]が届いています。[詳細ボタン ]からワークフロー図を確認すると、依頼先が OK を出すまで延々と差し戻されるような設計になっていますね。先に進めましょう。[処理ボタン ]からタスクの処理画面を開き、ページ下部の[「1x. 再確認への対応」処理完了]をクリックしてください。これでまた依頼先にトークンが移ります。

依頼先であるカナリアのアカウントに戻ると、またタスクが届いています。[処理ボタン ]から処理しましょう。先ほどと同じですが、今度は差し戻さずに完了を選択してください。ワークフロー図によれば次のタスクは[3. 完了の確認]で、トークンは依頼元に進んでいるはずです。依頼元であるあなたのアカウントに切り替えてください。

依頼元に無事タスクは届いていたでしょうか? 届いていたなら、これまでと同様に処理しましょう。タスクの処理画面には[再依頼]と[完了]の 2 つの選択肢がありますが、[再依頼]を選択したらどうトークンが進むか、もう予想が付きますね。ワークフロー図にあるように、[再依頼]の場合は依頼先に差し戻されてタスク[2. 再確認/完了報告]に戻ります。もうプロセスの進め方は十分覚えられたと思いますので、ここは[完了]を選択しましょう。トークンが終了イベントに進んだので、このプロセスは終了です!

本当にプロセスが完了したかどうか、確認する方法はいくつかあります。例えば、プロセスを開始した「あなた」のアカウントから確認してみましょう。左メニューの[開始したプロセス]を開いてみてください。リストに先ほど処理したプロセスがありますね。[詳細ボタン ]で中身を見ると……

ワークフロー図のトークンがきちんと終了イベントに到達しています!(トークンの色は終了を示すグレーに変わります) 以上のように、プロセスが終了したことが確認できました。[処理記録]の項目には各タスクの担当者や処理時刻などが詳細に記録されているので、細かく確認したい場合はそちらを参照してください。

これで「Chapter 1: アプリの利用者として、既成のアプリを触ってみる」は終了です。次は自分でワークフローアプリを作成してみましょう。

「Chpt.2: 簡単なアプリを作ってみる」に続く

「はじめての Questetra BPM Suite / Chpt.1: アプリの利用者として、既成のアプリを触ってみる」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: はじめての Questetra BPM Suite / STEP3: 出張申請アプリを作る – Questetra Support

  2. ピンバック: はじめての Questetra BPM Suite / STEP4: 条件により「分岐」させる – Questetra Support

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