
MCP コネクタで AI(Claude や ChatGPT)と Questetra BPM Suite(以下 Questetra)をつなぐと、AI のチャットから Questetra のケースのデータを参照し、要約・集計・分析できるようになります。本記事では、接続後に どう尋ねれば AI がケースデータをうまく分析してくれるかを、具体的なプロンプト例とともに解説します。
接続そのものの手順は、姉妹記事「ChatGPT と Questetra を MCP でつなぐ」「Claude と Questetra を MCP でつなぐ」を参照してください。本記事は、いずれかの方法で接続が済んでいることを前提とします(特定の AI 製品には依存しません)。
はじめに:AI は「ツール」を呼んでケースを読む
MCP で接続した AI は、Questetra が公開する 参照(読み取り)系のツールを呼び出してデータを取得します。書き込みやタスク処理は行われません。ケース分析では、主に次のツールが使われます。
| ツール | 役割 | 分析での使いどころ |
|---|---|---|
| list_process_models | アプリの一覧・検索 | 分析対象のアプリを特定する |
| list_process_data_definitions | アプリのデータ項目定義を取得 | 各項目の意味・型を把握する |
| list_process_instances | ケースの一覧・検索 | 条件でケースを絞り込む |
| get_process_instance | 個別ケースの詳細(データ項目+工程の履歴)を取得 | 1 件を深掘りする・経緯や現在地を見る |
| get_document | 検索条件などの補足ドキュメント | AI が検索条件の指定方法を確認する |
利用者は SQL や API を意識する必要はありません。日本語で問いかけるだけで、AI が必要なツールを順に呼び出して答えをまとめます。
分析の基本的な流れ
AI は、おおむね次の順序でケースにたどり着きます。意識しておくと、的確に指示しやすくなります。
- 対象アプリを特定する(list_process_models) どのアプリのケースを見たいのかを決めます。
- 必要ならデータ項目を把握する(list_process_data_definitions) 「金額」「ステータス」などの項目名・型を確認し、絞り込みや集計の基準にします。
- ケースを絞り込む(list_process_instances) 状態・期間・タイトル・データ項目などの条件で対象ケースを抽出します。
- 個別ケースを深掘りする(get_process_instance) 気になるケースのデータ項目や経緯を詳しく取得します。
最初に対象アプリを名前で示すと、以後の問い合わせがスムーズです(例:「『稟議』アプリのケースで…」)。
プロンプト例(ケース分析)
実際の問いかけ例です。お使いの AI のチャットに、接続したコネクタを有効にした状態で入力してください。
現状把握・棚卸し
「稟議」アプリで、進行中のケースは何件ありますか?「請求書発行」アプリの、直近 1 週間に開始されたケースを一覧で教えて。集計・分類
「稟議」アプリのケースを、状態(進行中・完了)別に件数を教えてください。「経費精算」アプリで、今月完了したケースを起案部門ごとに数えて、多い順に並べてください。(AI は一覧を取得して数え上げます。サーバ側で集計する仕組みではないため、件数が多い場合はアプリ・期間などで範囲を絞ると安定します。)
絞り込み・抽出
「稟議」アプリで、金額が 100 万円以上のケースを抽出して、件名と金額の一覧にしてください。(金額のような項目で絞り込む場合、AI はまずデータ項目定義を確認してから検索します。項目名がわかっていれば、明示するとより確実です。)
個別ケースの深掘り・要約
ケース pXXXXXXX のデータ項目を要約してください。「稟議」アプリの、最も長く進行中になっているケースを 1 件選んで、これまでの経緯(誰がいつどの工程を処理したか、いま誰の番か)を説明してください。個別ケースの詳細には、各データ項目だけでなく 工程の履歴(担当者・処理日時・現在どの工程にあるか)も含まれます。そのため「経緯の説明」「いま誰で止まっているか」といった問いにも答えられます。
滞留の確認
「稟議」アプリで進行中のケースについて、いまどの工程で止まっているか、工程ごとに件数を教えてください。傾向の分析
「解約申請」アプリで、今四半期に開始されたケースの傾向(件数の推移や目立つ特徴)を教えてください。会話は続けられます。「では、その中で金額が大きい上位 5 件を詳しく」のように、結果をもとに掘り下げていくのが効果的です。
うまく分析させるコツ
- 対象アプリを先に伝える。 「どのアプリのケースか」を最初に示すと、AI が対象を取り違えにくくなります。
- 項目名で指定する。 絞り込みや集計の基準は、Questetra の画面に表示される項目名(例:「金額」「申請部門」)で伝えます。
q_string0のような内部のフィールド名は取得できないため、項目名ベースが確実です。 - 件数が多いときは条件を絞る。 一覧取得は合計件数(該当する全件数)を返すため、「○○は何件?」という件数の把握は 1 回の問いかけで可能です。一方、中身の列挙や集計には一覧の取得が必要で、1 回あたりの取得は既定 100 件・ページ送り対応とはいえ、AI が何ページもめくって全件を扱うのは不安定です(サーバ側で集計する仕組みもありません)。期間・状態・アプリ・データ項目などで母数を絞ると、安定して答えが返ります。
- 集計の定義を明確にする。 「進行中」「完了」「今月」などの言葉は、必要に応じて「いつからいつまで」「どの状態を指すか」を補足すると、ズレが減ります。
注意事項・限界
- 数値は鵜呑みにせず確認を。 AI は問いかけに「話を合わせて」もっともらしく答えることがあります。重要な件数や金額は、Questetra の一覧・集計画面で裏取りしてください。
- 集計できる件数には目安があります。 「○○は何件?」という件数だけの把握は、合計件数が応答に含まれるため母数に関わらず可能です。一方、中身を列挙して集計する場合(部門別・金額帯別など)は AI が一覧データを受け取って数えるため、おおむね 100 件前後までが確実です。数百件は条件次第(取得上限や AI 側の出力上限に近づき、取りこぼす場合があります)、1,000 件を超える規模は AI での集計には不向きです。母数が大きいときは期間・状態・データ項目で絞り込むか、Questetra のケース/タスク集計機能を使ってください。
- 見えるのは自分の権限範囲のケースだけ。 取得できるデータは、接続して認可したユーザ本人の権限の範囲に限られます。同じ問いでも、人によって件数が変わることがあります。
- 取得できない情報もある。 現状のツールでは、データ項目の内部フィールド名(例:
q_string0)や、工程ごとの詳細な権限情報などは返りません。 - 参照専用です。 AI がケースを更新したり、タスクを処理したりすることはありません(読み取りのみ)。
接続が済んでいれば、あとは日本語で問いかけるだけです。まずは「○○アプリで進行中のケースは何件?」のような軽い質問から始め、結果を見ながら少しずつ深掘りしてみてください。AI を、Questetra のデータに詳しい相談相手として活用できます。



