
「顧客からの Web 申込みを Questetra BPM Suite で受け付ける」といったケースでは、外部からもアクセス可能な Web フォームが必要になります。Questetra BPM Suite では、「公開フォームにデータを入力する」というタスクをワークフローに設置するために、2 種類のオブジェクトを用意しています。メッセージ開始イベント(フォーム)と受信タスク(フォーム)です。この 2 つの使用例として、
- 外部ユーザに、メールアドレスを公開フォーム経由で送信してもらい、
- そのメールアドレス宛に、次のタスクの公開フォーム URL をアプリから送信し、
- 公開フォームから名前を送信してもらう
という形でメールアドレスの存在確認を行うアプリの作り方を紹介します。
公開フォーム設置のためのオブジェクト
先述の通り、公開フォームを設置するためのオブジェクトには、メッセージ開始イベント(フォーム)と受信タスク(フォーム)の 2 種類があります。ワークフロー図に配置することで、「指定の URL に設置された公開フォームにデータを入力する」というタスクが設定されます。
メッセージ開始イベント(フォーム)
公開フォームからプロセスを開始できるようにするためのオブジェクトです。スイムレーンの処理担当者設定にかかわらず、
- 公開フォーム URL を知っていて、
- 公開フォームへの接続を許可された IP アドレスからの接続
であれば、公開フォームにデータを入力することができます。接続許可設定は「システム設定 > セキュリティ > IP アドレス制限 > メッセージ開始イベント/メッセージ受信中間イベント設定」で行えます。IP アドレス制限の詳しい設定方法については、「Questetra BPM Suite の外からプロセスを開始する(準備編)> IP アドレス制限の設定」を参照してください。
受信タスク(フォーム)
開始イベント〜終了イベントの間に公開フォームを設置したい場合に使うオブジェクトです。公開フォームからデータを送信されたときに、トークンを次のオブジェクトに遷移させます。
公開フォームへのアクセス方法は「メッセージ開始イベント(フォーム)」と同じです。スイムレーンの処理担当者設定にかかわらず、公開フォームにアクセスできますが、URL と使用する IP アドレスへのアクセス許可が必要です。
アプリの設定
それでは、メールアドレスの存在確認を行うアプリの作成を通して、公開フォームを設置する 2 種類のオブジェクトの使い方を見ていきましょう。
ワークフロー図
次のようにワークフロー図を作成してください。「メッセージ開始イベント(フォーム)」は開始イベントパレット、「メッセージ送信中間イベント(メール)」は、中間イベントパレットに、「受信タスク(フォーム)」は、自動処理タスクパレットに入っています。

データ項目
次の 4 つを設定してください。
項目名 | データタイプ | 備考 |
件名 | 文字型・単一行 | |
メールアドレス | 文字型・単一行 | 必須 |
氏名 | 文字型・単一行 | 必須 |
フォームキー | 文字型・単一行 | 初期値: #{#randomString(20)} |
データ編集許可
次のように設定してください。
開始 | 受信 | 確認 | |
件名 | (表示なし) | (表示なし) | (表示のみ) |
メールアドレス | (編集可) | (表示のみ) | (表示のみ) |
氏名 | (表示なし) | (編集可) | (表示のみ) |
フォームキー | (表示なし) | (表示なし) | (表示のみ) |
メッセージ送信中間イベント(メール)設定
宛先 (To)・標題・本文を次のように設定してください。

宛先と本文については、データ埋込を利用しましょう。「メッセージ送信中間イベント(メール)」の詳細については、「ワークフローの途中でメールを自動送信しよう」を参照してください。
本文には、次の「受信タスク(フォーム)」にアクセスするための URL を記載します。URL はシステム変数: アプリケーションルート URL・プロセス ID・フォームキーのデータ埋込を使って、次のように組み立てられます。
<nodeNumber>は「受信タスク(フォーム)」のノード番号を指定します。フィールド名には、データ項目「フォームキー」のフィールド名が入ります。
受信タスク(フォーム)設定
「全般」タブの「API キー」のプルダウンメニューで「フォームキー」を選択してください。

データ項目「フォームキー」の初期値を先ほど #{#randomString(20)} と設定しましたが、これは 20 文字のランダムな文字列を生成する式になります。これにより、「受信タスク(フォーム)」のアクセス URL がランダムになり、第三者からはわからなくなります。
アプリの設定はここまでで完了です。保存・リリースしてアプリを使ってみましょう。
実際に使ってみる
メッセージ開始イベント(フォーム)の URL 確認
プロセスを開始するために、「メッセージ開始イベント(フォーム)」にアクセスしましょう。リリースした最新バージョンの「詳細」をクリックしてワークフロー図を開いてください。

「メッセージ開始イベント(フォーム)」のプロパティを開くと、アプリ作成中はグレーアウトしていた フォーム URLがクリックできるようになっています。ここから公開フォーム URL や、接続許可設定を確認することができます。
メッセージ開始イベント(フォーム)にアクセス
公開フォーム URL と接続許可設定を確認したら、「メッセージ開始イベント(フォーム)」にアクセスしてみましょう。メールアドレスの入力を求められるので、受信可能なメールアドレスを入力してください。
メールを確認
公開フォームからデータを送信すると、入力したメールアドレス宛に「メッセージ送信中間イベント(メール)」からメールが届きます。

メール本文に次の「受信タスク(フォーム)」の URL が記載されていますね。この仕組みにより、入力されたメールアドレスが有効なものかどうかを確認できるというわけです。
受信タスク(フォーム)にアクセス
メールに記載された URL から「受信タスク(フォーム)」にアクセスして、名前を入力して送信しましょう。この公開フォームでの入力項目を工夫すれば、様々な事例に応用できます。
「確認」タスクを処理
最後に、Questetra BPM Suite に戻って「確認」タスクを処理しましょう。公開フォームで入力したデータ項目が表示されるので、確認してください。
このように、「メッセージ開始イベント(フォーム)」や「受信タスク(フォーム)」を用いることで、外部からもデータの入力ができるようになります。Web フォームの作成に、ぜひ Questetra BPM Suite を活用してください!
次の記事では、「メールアドレスの存在確認に期限を設定する」「開始イベントのフォームでのメールアドレス入力時にある程度のバリデーションをする」など、実際の業務に応用する上で有用な設定を紹介します。
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