
0. 導入
Questetra BPM Suite のバージョン17.0 で「AIエージェント」機能がリリースされました。
この新機能は、Questetra の全てのエディションで追加料金なく利用でき、OpenAI などのAI モデルベンダーとの個別の契約も不要です。また、AI への指示は自然な日本語で行えます。そのため、AIを簡単に業務プロセスの一部に組み込むことができ、業務効率を飛躍的に向上させる可能性があります。
本記事では、AIエージェントの概要と基本的な使い方を解説し、活用方法を紹介します。
本記事の対象は、業務プロセスの自動化や改善を検討している企業のシステム管理者および業務アプリ設計者です。
1. AIエージェントの概要
AIエージェントは、ワークフローアプリ内に配置できる新しい自動処理工程[AIエージェント]を用いて利用できます。[AIエージェント]は、工程に設定された指示内容に基づいて、AI エージェントが処理を実行します。



[AIエージェント]の主な特徴
- 自然言語での指示
日本語などの自然言語で記述された指示内容に基づき、指定されたデータ項目のデータを参照して、文章生成や要約、分類などを自動で実行します。 - 認証設定・通信設定が不要
生成AIを利用するにあたって認証設定や通信設定は不要で、モデラの工程設定画面で簡単に設定できます。 - 無料で利用可
Questetra の利用料に含まれており、追加料金は不要です。
(ただし、利用量には契約に応じた制限があります)
2. 基本的な使い方
[AIエージェント]の利用手順は以下の通りです。
- a. ワークフロー図に[AIエージェント]工程を追加
- b. AI に参照/編集させるデータ項目を用意
- c.[AIエージェント]工程に AIへの指示を記入
それでは、順を追って説明します。
a. ワークフロー図に[AIエージェント]工程を追加
まずは、業務アプリのワークフロー図に[AIエージェント]を追加しましょう。
- a-1. モデラを立ち上げ[ワークフロー図]編集画面を表示します
- a-2. パレットの[自動処理工程タスク]から[AIエージェント]を選びます
- a-3. ワークフロー図の処理を行わせたい場所に配置します
- a-4. フローを適切につなげて、業務フローに組み込みます
b. AI に参照/編集させるデータ項目を用意
次に、AI が読み込むデータ、AI に編集させるデータを格納するデータ項目をそれぞれ用意しましょう。
- b-1. [データ項目]タブにて、データ項目編集画面を表示します
- b-2. 必要なデータ項目を追加します
- b-3. 各データ項目の詳細を設定します
- b-4. 各データ項目の編集の可否を設定します
- [AIエージェント]でも同様に、[AI による編集の可否]を設定します
- [表示のみ]と[編集可能]が指定されているデータ項目の値のみAIは参照できます
- [編集可能]が指定されているデータ項目の値のみAIは変更できます
- [AIエージェント]でも同様に、[AI による編集の可否]を設定します
AI に入力されたデータは、AI モデルの学習には利用されません。安心してご利用ください。詳しくは、自動処理工程[AIエージェント]の 「Notes」をご参照ください。
c. [AIエージェント]工程に AIへの指示を記入
- c-1. [AIエージェント]工程の詳細設定画面を開きます
- c-2. [C1: AI への指示]に、AIが処理する内容を書き込みます
- 例:「データ項目「問い合わせ内容」にお問い合わせメールの本文が格納されています、「お問い合わせ内容」を50文字以内に要約し、データ項目「要約」に書き込んでください。」
- 部下や同僚、外注先に依頼するように、なるべく具体的に指示するのをおすすめします
- どのデータ項目に何のデータが入っていて、どのデータ項目を、どのように処理するのかを具体的に書いてください
- c-3. [温度]を設定します
- [温度]は、出力内容の堅実性と創造性のバランスを制御するパラメータです
- AI が出力内容を作成する際に、候補から堅実な答えを選ぶのか、挑戦的・創造的な答えを選ぶのかを調整します
- 用途によって適切な範囲が異なります
- 低温(0.0~0.3):堅実⇒要約
- 中温(0.3~0.7):バランス型⇒記事案の作成
- 高温(0.8~1.0):創造的⇒アイディア出し
- [温度]は、出力内容の堅実性と創造性のバランスを制御するパラメータです
3. 使用上の注意点
AIエージェントは便利な一方、以下の点に注意が必要です。
- 生成内容の正確性
ベースとなっている生成AIモデルの特性上、内容に誤りが含まれる可能性があります。重要な意思決定への直接利用は慎重にしてください。 - 使用量の制限
[AIエージェント]は、無料で使用できますが、契約エディション、契約数に応じた利用量の制限があります。
詳細は、[AIエージェント]のヘルプをご確認ください
4. 活用例
以下に、[AIエージェント]の活用例をいくつか紹介します。
活用例1:問い合わせ内容の自動要約
要約の自動作成と、案件名を内容に沿って自動で付けることにより、問い合わせ対応担当が効率的に概要を把握できるようにします。

上記ワークフローのAI エージェントに関係する部分について、設定方法を解説します。
ここでは、[メッセージ開始イベント(メール)]を使用しております。[メッセージ開始イベント(メール)]の使い方は、「M218: 特定メールアドレスにメールが届いた時に自動的に開始されるように設定する」をご覧ください。
- モデラのワークフロー図編集画面にて、[メッセージ開始イベント(メール)]のとなりに自動処理工程[AIエージェント]を配置します
- 配置した工程をフローで接続します
- 「データ項目」編集画面にて、下記のデータ項目を追加します
- 単一行文字列:要約
- 複数行文字列:メール本文
- ワークフロー図に戻り、[メッセージ開始イベント(メール)]の設定画面を開き、下記を設定します
- [本文]:データ項目「メール本文」
- [AIエージェント]工程の設定画面を開き、[AI による編集の可否]を下記の様に設定します
- 件名:「編集可能」
- 要約:「編集可能」
- メール本文:「表示のみ」
- [C1: AI への指示]を設定します
- 設定例:
データ項目「問い合わせ内容」にお問い合わせメールの本文が格納されています。「メール本文」を100文字以内に要約し、データ項目「要約」に書き込んでください。また、内容に沿った件名を20文字以内で作成し、データ項目「件名」に書き込んでください。
- 設定例:
- [C3: 温度]を「0.3」にします
活用例2:稟議書の校正
AI にレビューさせることで、稟議書の品質を向上させます。また、それにより、承認スピードを向上し、承認者の負担を軽減させます。

上記ワークフローのAI エージェントに関係する部分について、設定方法を解説します。
- モデラのワークフロー図編集画面にて、稟議書を作成するヒューマンタスクのそばに、自動処理工程[AIエージェント]を配置します
- 稟議書作成工程と[AIエージェント]工程を相互にフローで接続します
- 「データ項目」編集画面にて、下記のデータ項目を追加します
- 複数行文字列:稟議書
- 複数行文字列:指摘事項
- ワークフロー図に戻り、[AIエージェント]工程の設定画面を開いて、[AI による編集の可否]を下記の様に設定します
- 稟議書:「表示のみ」
- 指摘事項:「編集可能」
- [C1: AI への指示]を設定します
- 設定例:
データ項目「稟議書」の稟議申請内容について、改善すべき点を教えてください。誤記や記載すべき内容のモレがあれば指摘してください。改善点・指摘事項は、データ項目「指摘事項」に記入してください。
- 設定例:
- [C3: 温度]を「0.5」にします
活用例3:新旧対照表の自動生成
規程を更新する際に、AI に旧規定と新規定の対照表を作成させます。それにより、変更点を即座に視覚的に把握できるようにし、レビュアの負担や見落とし、誤認を軽減します。

上記ワークフローのAI エージェントに関係する部分について、設定方法を解説します。
- モデラのワークフロー図編集画面にて、新規程案や旧規定等の起案事項を入力するヒューマンタスクのそばに、自動処理工程[AIエージェント]を配置します
- 起案事項入力タスクと[AIエージェント]工程とを相互に接続します。
- 「データ項目」編集画面にて、下記のデータ項目を追加します
- 複数行文字列:新規定
- 複数行文字列:旧規定
- Markdown 文字列:新旧対照表
- ワークフロー図に戻り、[AIエージェント]工程の設定画面を開いて、[AI による編集の可否]を下記の様に設定します
- 新規定:「表示のみ」
- 旧規定:「表示のみ」
- 新旧対照表:「編集可能」
- [C1: AI への指示]を設定します
- 設定例:
データ項目「旧規程」とデータ項目「新規程」とを比較して対照表を作成し、データ項目「新旧規程対照表」に書き込んでください。ただし、「旧規程」が空の場合は、対照表の作成は不要です。また、もし「新規程」に誤植や不自然な点があれば、列挙し、それぞれの改善案を提案、データ項目「改善案」に記入してください。
- 設定例:
- [C3: 温度]を「0.5」にします
5. まとめ
Questetra Ver. 17.0 で登場したAIエージェントは、生成AI をワークフローに簡単に組み込むための強力なツールです。処理の自動化や作業品質の向上に貢献するこの機能を、ぜひ皆様の業務プロセスにも取り入れてみてください。
また、もし良い活用方法を見つけた方は、ぜひ コミュニティに投稿して共有して下さい。
