
Questetra BPM Suite では、ケースの業務データ(データ項目に入力された値)を閲覧できるユーザが限られています。閲覧できるかどうかは、そのユーザとケースとの関わりと、アプリごとに付与される権限で決まります。
この記事では、閲覧できるユーザを判定するルールを先に示し、そのあと見積承認アプリの例で、工程が進むごとに誰が閲覧できるかを確かめます。
閲覧できるユーザを判定するルール
ケースが一覧や検索結果に表示されるのは、次のいずれかに当てはまるユーザです。閲覧できるデータ項目は、当てはまる条件によって異なります。
| 当てはまる条件 | 閲覧できるデータ項目 | 閲覧できる期間 |
|---|---|---|
| そのケースに関わった(ケースを開始した、または工程の担当者になった) | 自分が担当者になった工程で表示されるデータ項目 | 関わった時点から(ケースの終了後も含む) |
| そのケースの工程の引き受け候補になっている(引き受け待ち) | その工程で表示されるデータ項目 | 誰かが引き受けるまで |
| そのアプリの[データ閲覧権限]を持つ | すべてのデータ項目 | 権限を持っている間 |
| そのアプリの[コントロール権限]または[データ閲覧権限(進捗情報限定)]を持つ | なし(ケースは閲覧できる) | 権限を持っている間 |
どれにも当てはまらないユーザは、ケースを開始したユーザと同じ組織に所属していても、役職者であっても、そのケースを閲覧できません。閲覧できるかどうかはケースごとに決まるので、同じアプリの別のケースに関わっていても同じです。そのケースは、ケースの一覧や検索結果にも表示されません。
ケースに関わったユーザ
ケースを開始したユーザと、工程の担当者になったユーザは、そのケースを閲覧できます。 ケースが工程に到達する前は、その工程の処理担当者でも閲覧できません。工程の担当者になるのは、次のいずれかのときです。
- 引き受け待ちのタスクを自分で引き受けたとき
- 処理担当者が自分 1 人だけで、タスクが自分に割り当てられたとき
- 他のユーザからタスクを移譲されたとき
- [強制割当]でタスクを割り当てられたとき
担当者になった後は、タスクを他のユーザに移譲したり、[強制割当]で他のユーザに割り当て直されたりしても、ケースに関わったユーザであることは変わりません。自分の担当工程が終わった後も、ケースが終了した後も、検索してケースの詳細を開けます。
閲覧できるのは、自分が担当者になった工程で表示されるデータ項目、つまりその工程で[編集可]または[表示のみ]に設定されているデータ項目です。[表示なし]に設定されているデータ項目は閲覧できません。ケースを開始したユーザの場合は、開始工程で表示されるデータ項目です。データ項目の表示は工程ごとに設定します。設定方法は、「はじめての ワークフローアプリ設計」の「第5章 複数のユーザが処理を行うアプリを作成する」にある「データ項目の編集/表示の可否設定」を参照してください。
引き受け候補のユーザ
処理担当者が複数いる工程では、誰かが引き受けるまでの間、引き受け候補の全員が、その工程で表示されるデータ項目を閲覧できます。 ケースがその工程に到達するとタスクは引き受け待ちになり、引き受け候補は[引き受け待ち]の一覧からタスクを開けます。
誰かが引き受けると、他の引き受け候補の[引き受け待ち]からタスクが消えます。引き受けなかった引き受け候補はケースに関わったユーザに当たらないので、その後はケースを閲覧できません。
[データ閲覧権限]を持つユーザ
アプリの[データ閲覧権限]を持つユーザは、そのアプリのすべてのケースを閲覧できます。 工程を担当していなくても、すべてのデータ項目を閲覧でき、ケースを検索できます。業務に関係する部署のメンバや監査を担当するユーザに付与するのが一般的です。
[データ閲覧権限]はアプリごとに付与します。付与の方法は「M302: ワークフローアプリごとの特権ユーザを指名する」を参照してください。自分がどのアプリの[データ閲覧権限]を持っているかは、[アカウント設定]の[権限]にある[アプリ権限]で確認できます(「M116: 自分のデータ閲覧権限を確認する」)。
見積承認アプリでの例
この記事で使うワークフローアプリ
営業部のメンバが見積を作成し、営業部の役職者が承認したあと、営業事務課のメンバが見積書を顧客に送付するアプリです。工程と処理担当者は次のとおりです。
| 工程 | 処理担当者 |
|---|---|
| 「見積作成」(開始工程) | 営業部のメンバ |
| 「承認」 | 営業部の役職者(1 人) |
| 「見積書送付」 | 営業事務課のメンバ(複数人) |
データ項目と、各工程での設定は次のとおりです。「原価」は「見積書送付」で、「承認メモ」は「見積作成」で[表示なし]にしています。
| データ項目 | 「見積作成」 | 「承認」 | 「見積書送付」 |
|---|---|---|---|
| 「顧客名」 | [編集可] | [表示のみ] | [表示のみ] |
| 「見積金額」 | [編集可] | [表示のみ] | [表示のみ] |
| 「原価」 | [編集可] | [表示のみ] | [表示なし] |
| 「承認メモ」 | [表示なし] | [編集可] | [表示のみ] |
ここでは、次の順に進むケースを考えます。
- 佐藤がケースを開始し、「見積作成」を処理します。
- 佐藤が「見積作成」を処理し終えると、「承認」のタスクが鈴木に割り当てられます。
- 鈴木が承認し、「見積書送付」が田中と伊藤の引き受け待ちになります。
- 田中が「見積書送付」を引き受けます。
- 田中が「見積書送付」を処理し、ケースが終了します。
1〜5 に登場するユーザを含め、このアプリを使うユーザは次の 8 人です。
| ユーザ | 所属 | このケースとの関わり |
|---|---|---|
| 佐藤 | 営業部 | ケースを開始し「見積作成」を処理 |
| 鈴木 | 営業部(役職者) | 「承認」を処理 |
| 高橋 | 営業部 | 関わりなし |
| 田中 | 営業事務課 | 「見積書送付」の引き受け候補(引き受けて処理) |
| 伊藤 | 営業事務課 | 「見積書送付」の引き受け候補(引き受けない) |
| 山本 | 経理部 | このアプリの[データ閲覧権限]を所持 |
| 渡辺 | 管理部 | このアプリの[コントロール権限]を所持([データ閲覧権限]はなし) |
| 中村 | 役員(CMO) | 関わりなし(このアプリの権限もなし) |
工程ごとの閲覧可否
1〜5 のそれぞれの時点で、各ユーザがこのケースを閲覧できるかは次のとおりです。括弧書きのない「閲覧可」は、4 つのデータ項目すべてを閲覧できることを表します。
| ユーザ | 1. 「見積作成」 | 2. 「承認」 | 3. 「見積書送付」(引き受け待ち) | 4. 「見積書送付」(田中が引き受けた後) | 5. ケース終了後 |
|---|---|---|---|---|---|
| 佐藤 | 閲覧可(「承認メモ」を除く) | 閲覧可(「承認メモ」を除く) | 閲覧可(「承認メモ」を除く) | 閲覧可(「承認メモ」を除く) | 閲覧可(「承認メモ」を除く) |
| 鈴木 | 不可 | 閲覧可 | 閲覧可 | 閲覧可 | 閲覧可 |
| 高橋 | 不可 | 不可 | 不可 | 不可 | 不可 |
| 田中 | 不可 | 不可 | 閲覧可(「原価」を除く) | 閲覧可(「原価」を除く) | 閲覧可(「原価」を除く) |
| 伊藤 | 不可 | 不可 | 閲覧可(「原価」を除く) | 不可 | 不可 |
| 山本 | 閲覧可 | 閲覧可 | 閲覧可 | 閲覧可 | 閲覧可 |
| 渡辺 | 閲覧可(データ項目は見えない) | 閲覧可(データ項目は見えない) | 閲覧可(データ項目は見えない) | 閲覧可(データ項目は見えない) | 閲覧可(データ項目は見えない) |
| 中村 | 不可 | 不可 | 不可 | 不可 | 不可 |
佐藤は、どの時点でも閲覧できますが、「承認メモ」は閲覧できません。 ケースを開始したユーザなので、ケースに関わったユーザに当たります。閲覧できるデータ項目は開始工程「見積作成」の設定で決まり、「承認メモ」は「見積作成」で[表示なし]なので、ケースが終了した後も表示されません。
鈴木は、ケースが「承認」に到達した 2 の時点から閲覧できます。 1 の時点では、ケースがまだ「承認」に到達していないので、何も閲覧できません。「承認」の処理担当者は鈴木 1 人なので、2 の時点で「承認」のタスクが鈴木に割り当てられ、鈴木はケースに関わったユーザになります。
高橋は、どの時点でも閲覧できません。 佐藤と同じ営業部のメンバなので「見積作成」の処理担当者には含まれていますが、このケースを開始しておらず、どの工程の担当者にもなっていません。
田中は、3 の時点から閲覧できますが、「原価」は閲覧できません。 3 の時点では、引き受け候補として閲覧できます。4 の時点で「見積書送付」を自分で引き受けたので工程の担当者になり、ケースに関わったユーザに当たります。「見積書送付」では「原価」が[表示なし]なので、ケースが終了した後も「原価」は表示されません。
伊藤は、3 の時点だけ、「原価」を除いて閲覧できます。 4 の時点で田中が引き受けると、伊藤の[引き受け待ち]からタスクが消えます。伊藤はケースに関わったユーザに当たらないので、その後は閲覧できません。
山本は、どの工程も担当していませんが、どの時点でも閲覧できます。 このアプリの[データ閲覧権限]を持っているので、ケースが開始した 1 の時点から、すべてのデータ項目を閲覧できます。
渡辺は、どの時点でもケースを閲覧できますが、データ項目は見えません。 このアプリの[コントロール権限]は持っていますが、[データ閲覧権限]は持っていないので、ケースは一覧や検索結果に表示されても、データ項目は表示されません。
中村は、CMO として営業部より上の立場ですが、どの時点でも何も閲覧できません。 このケースに関わっておらず、このアプリの権限も持っていないので、ケースは一覧や検索結果にも表示されません。
関連ドキュメント
- M302: ワークフローアプリごとの特権ユーザを指名する
- M116: 自分のデータ閲覧権限を確認する
- 第5章 複数のユーザが処理を行うアプリを作成する(はじめての ワークフローアプリ設計)



