
今回は新たに追加された Box に関する自動工程について説明します。
Questetra では Box と連携する自動工程が各種用意されていますが、バージョン 13.1 から新たに「Box: ファイル移動」が使用可能になります。
* 既存の自動工程については「ワークフローから Box を活用する」を参照してください。
この記事ではこれに加えて「開始: Box: ファイルアップロード時」と「Box: ファイルダウンロード」を用いて、ファイルがアップロードされると自動でプロセスが開始されるワークフローアプリを定義します。
各自動工程について
各工程について簡単に説明します。
開始: Box: ファイルアップロード時

Box の指定フォルダにファイルがアップロードされると、プロセスを開始します。また、追加されたファイルのファイル ID を取得してデータ項目に保存します。
Box: ファイル移動

既存ファイルを指定フォルダに移動します。ファイルのID・URLは変化しません。
Box: ファイルダウンロード

Box 内の指定ファイルをダウンロードします。ファイル名を指定しない場合、Boxでのファイル名で保存されます。
Box と Questetra の連携設定
Box と連携するための認証設定を行います。
具体的な方法は「Box を活用して、ファイルを社外の人へ送る」の記事を参考に設定してください。
サンプルアプリ

このアプリは組織全体で Box を利用していて、組織内の一部で Questetra を利用しているといった状況で、Questetra を利用していない部署からファイルを受け取るための仕組みです。共有フォルダへのファイルのアップロードを検知し、プロセスが開始された後に当該のファイルを別に指定したフォルダに自動で移動します。こうすることでプロセスの重複起動を防ぎ、またBox 上でもどのファイルが処理済みであるかわかるようになります。
なお、ファイルの受け取りを確認した後の業務は定義されていません。ご使用の目的に合わせて設計してください。
Box での設定
今回はあらかじめ Box に2つのフォルダを作成し利用します。
Box にログインした後、[新規]からフォルダを作成します。1つ目のフォルダ名を「受領ボックス」、2つ目を「開始済みファイル」と設定します。「受領ボックス」の[共有]をクリックし「ユーザーを招待」の欄にファイルの送り手のメールアドレスや部署名を入力します。対象者の権限を[アップローダー]に設定し[送信]ボタンをクリックします。

フォルダの作成が完了したら、作成したフォルダをクリックして詳細画面を開きます。この時にブラウザのナビゲーションバー(URL の表示部)に表示されている文字列の数字部分がこのフォルダのフォルダID となっています。2つのフォルダのフォルダID をメモしておきます。(アプリ設定に使用します。)

Box の基本設定(Enterprise 設定)によっては共有の設定をすることが制限されている場合があります。Box 管理者にお問い合わせください。
ワークフローアプリの設定
データ項目
データ項目名 | データ型 | 必須 | 「確認」工程 | 説明 |
件名 | – | – | 表示のみ | プロセスの件名です。 |
ファイル ID | 文字列型 (単一行) | – | 表示のみ | 対象のファイルの ID が保存されます。 |
アップロードされた日時 | 日時型 | – | 表示のみ | ファイルがアップロードされた時間が保存されます。 |
ファイル | ファイル型 | – | 表示のみ | ダウンロードされたファイルを保存します。 |
Box 開始工程
項目名 | 必須 | 説明 |
C1: OAuth2 設定 | ○ | Box への接続に使用する OAuth2 設定を指定します。指定する OAuth2 設定ではあらかじめトークンを取得しておく必要があります(「Box と Questetra の連携設定」を参照)。 |
C2: 監視するフォルダの ID | – | ファイルのアップロードを監視する対象となる「受領ボックス」のフォルダ ID を入力します。 |
C3: ファイル ID を保存するデータ項目 | ○ | データ項目「ファイル ID」を選択して指定します。 |
C4: ファイルがアップロードされた日時を保存するデータ項目 | – | データ項目「アップロードされた日時」を選択して指定します。 |
アプリがリリースされると、ID で指定された Box 上のフォルダの監視を始めます。ファイルのアップロードが検知されればプロセスが開始され、データ項目に取得されたファイルID とアップロード時刻が保存されます。
なお、複数のファイルが同時にアップロードされた場合個々のファイルごとにプロセスが開始されます。
ファイル移動工程
項目名 | 必須 | 説明 |
C1: OAuth2 設定 | ○ | Box への接続に使用する OAuth2 設定を指定します。 |
C2: 移動させるファイルの ID | ○ | データ項目「ファイル ID」を選択して指定します。 |
C3: 移動先フォルダの ID | ○ | 「固定値」を選択し、「開始済みファイル」のフォルダ ID を入力します。 |
「受領 Box」フォルダにアップロードされたファイルを「開始済みファイル」フォルダに移動します。移動先の「開始済みファイル」フォルダの内容を一覧することにより、Box 上でも Questetra で開始されたプロセスを確認できるようになります。
ダウンロード工程
項目名 | 必須 | 説明 |
C1: OAuth2 設定 | ○ | Box への接続に使用する OAuth2 設定を指定します。 |
C2: ダウンロードするファイルの ID | ○ | データ項目「ファイル ID」を選択して指定します。 |
C3: ファイル名 | - | 今回は空白にします。 (プロセス連番やフォーマット日時を利用して命名することもできますが、その場合にはファイルの拡張子が固定されます) |
C4: ダウンロードファイルを追加保存するファイル型データ項目 | ○ | データ項目「ファイル」を選択して指定します。 |
対象のファイルをダウンロードし、ファイル型のデータ項目に保存します。
アプリがリリースされると「開始: Box: ファイルアップロード時」が指定フォルダの監視を始めます。監視対象のフォルダに既にあるファイルは無視され、新たにアップロードされたファイルのみについてプロセスが開始されます。プロセスが開始された直後に自動工程によってファイルが「受領 Box」から「開始済みファイル」に移動されます。次の自動工程でファイルがダウンロードされ、Questetra のデータ項目に保存されます。「確認」の工程ではファイルのファイル ID やアップロードされた時刻と共にファイルを確認できます。
なお、 Box ではファイルが最初に Box 上に作成された日時が記録され、ファイルを他のフォルダに移動しても作成日時が保持されます。既に Box 上にあるファイルを「受領 Box」で受け渡しする場合は「移動」ではなく「コピー」して複製を「受領 Box」に置いてください。「移動」した場合はプロセスが開始されないことがあります。
今回は以上です。