
ワークフローでは、業務を1本の流れだけでなく、状況に応じて複数の経路に分けたい場面があります。この記事では、分岐に使う3種類のゲートウェイ(分岐 XOR/分岐 OR/分岐 AND ゲートウェイ)の「使い分け」を解説します。
条件式(遷移条件)の具体的な指定方法や、ヒューマンタスクによる分岐は、別記事「分岐条件の指定の仕方」を参照してください。
分岐とは?
多くのワークフローでは、業務は1つの流れに沿って進みます。分岐を配置すると進むべき経路を複数設定でき、入力データや処理担当者の選択に応じて、どの経路に進むかを決められます。
ワークフロー図上で業務の進捗を表すアイコンを「トークン」と呼びます。通常トークンは1つで、条件を満たした1経路だけに進みますが、分岐 OR/分岐 AND ゲートウェイではトークンが複製され、複数の経路を同時並行で進むこともあります。
使い分け早見表
迷ったら、まずこの表で当たりをつけてください。
| アイコン | 分岐の方法 | トークンの複製 | 遷移条件 | 主な用途 | 対応エディション |
| ヒューマンタスク分岐 | しない(1経路) | ユーザ選択 または 条件式 | 担当者がボタンで進路を選ぶ/入力値で自動振り分け | Basic 以上 | |
| 分岐 XOR ゲートウェイ | しない(1経路) | 条件式(最初に合致した1つ) | 入力値で自動的に1経路へ振り分け | Basic 以上 | |
| 分岐 OR ゲートウェイ | する(合致した全経路) | 条件式 | 条件を満たす複数経路へ同時に進める | Advanced 以上 | |
| 分岐 AND ゲートウェイ | する(全経路) | 不要 | 必ず複数工程を同時並行で進める | Advanced 以上 |
ポイントは2つです。「1経路だけに進めたいのか、複数経路に分けたいのか」、そして「振り分けを自動(条件式)にするか、担当者の選択にするか」。トークンの複製が必要な 分岐 OR/分岐 AND ゲートウェイは Advanced エディション以上で利用できます。なお、担当者がボタンで進路を選ぶ「ヒューマンタスク分岐」は別記事「分岐条件の指定の仕方」で解説しています。
各ゲートウェイの挙動
分岐 XOR ゲートウェイ(Basic 以上)
設定した条件式に従い、最初に合致した1経路へ自動的にトークンを進めます。担当者が処理する工程は作られず、入力済みのデータをもとにシステムが自動で1経路へ振り分けます。複数進路のうち、必ずどれか1つだけに進めたいときに使います。
分岐 OR ゲートウェイ(Advanced 以上)
条件式を満たす経路すべてに、トークンを複製して進めます。分岐 XOR が「最初の1つだけ」なのに対し、分岐 OR は「条件を満たすものを全部」進める点が違います。「メール通知も送りつつ、本筋の確認工程にも必ず進める」のように、複数の処理を同時に走らせたい場面で使います。
分岐 AND ゲートウェイ(Advanced 以上)
条件式は設定せず、接続された全経路にトークンを複製して進めます。「総務部の契約書作成」と「経理部の与信確認」のように、無条件で必ず複数工程を同時並行させたいときに使います。
分岐 OR / 分岐 AND を使うときの注意
分岐 OR・分岐 AND はトークンが複製されるため、設計上いくつか気をつける点があります。
- 複製されたトークンを1本に戻すには、分岐タイプに対応した統合 OR/統合 AND ゲートウェイを配置します。これらは、到着予定の全トークンが揃うまで待ち合わせてから次へ進みます。
- 各経路をそれぞれ別の終了イベントに到達させ、合流させずに終わらせることもできます。この場合、すべてのトークンが終了して初めてケースが終了します([全終了イベント]を配置すると、他経路にトークンが残っていても、その時点でケースを終了できます)。
- ループ構造の中で 分岐 OR/分岐 AND を使い、複製されたトークンがさらに複製されるような形は、トークンが無限に増殖するおそれがあるため禁止されており、定義エラーになります。
※ 統合 XOR ゲートウェイは分岐 XOR に対応する合流で、待ち合わせは行いません(トークンは1つずつそのまま通過します)。

業務アプリでの例
分岐 XOR:稟議フロー
稟議承認フローでは、決裁後に 分岐 XOR ゲートウェイで「外部支払」の金額を評価し、一定額以上なら役員承認へ、そうでなければ次工程へ自動で振り分けます。


分岐 AND:外注契約フロー
外注契約フローでは、分岐 AND ゲートウェイでトークンを複製し、「委託契約書案の提示」(総務部)と「与信確認」(経理部)を同時並行で処理します。両方が完了すると統合 AND ゲートウェイで合流して次へ進みます。


分岐 OR:SLA申請対応フロー
SLA申請対応フローでは、分岐 OR ゲートウェイで「ダウンタイム確認」へは無条件に進めつつ、「一次回答が必要」な場合だけメール送信にもトークンを複製します。条件を満たす経路すべてに進む 分岐 OR の特性を活かした例です。


これらのサンプルは「ワークフローアプリ(業務テンプレート)」からダウンロードして試せます。



